さて、実は6月から台東区谷中で、木造3階建ての現場が始まりました。
現在、外壁工事中です。
この建物は、準防火地域にたつ3階建てのためイ準耐火建築物としています。
一般的に準耐火建築物というと、せっこうボードで柱・はりを覆って防火性能を確保することが多いですが、ここでは、木造防火技術の最前線の成果をうまく活用して、
1.柱・はり:スギ製材の燃えしろ設計
2.軒裏:木材あらわし軒裏(野地板30mm厚以上、面戸板45mm厚以上)
3.屋根:屋内側野地板あらわし(Jパネル36mm厚ほか)
など、木材の厚さや太さを活かして、火事につよい木造建築を実現しています。

設計は、
建築設計・防火技術監修:安井
構造設計:中村美穂さん(kplus)
構造設計監修:腰原幹雄さん(東京大学准教授)
建築設計協力:山崎たいくさん(やまざき建築研究所)
というメンバーです。
また、施工は
吉川の鯰:岸本耕さん・船橋耕太郎さん・松宮有里さんの若手大工(なんでもやる)集団
気合いの入ったスギ材(天然乾燥材含水率20%以下)は奈良県吉野の
阪口製材所:阪口勝行さん から出していただきました。
木材を最後まで使うことを考えて、現場のトイレや仮囲いも木材です。トイレはくさびによる組み立て式なので、この現場が終わればバラして次の現場にもっていきます。吉川の鯰の粋な心遣いが伝わる一品です。

これだけで、工事現場の雰囲気が大きくかわるなというのが実感です。
この建物の防火設計手法については、追々ご紹介します。
準耐火建築物でも結構、木材あらわしで軸組木造らしくできるものです。
H21年7月23日
安井昇
安井昇
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