2010年05月01日

300年生のもみの木

 当事務所では、木材を丸太買いをしている。築地市場でマグロを1本買いするのに近いだろうか。その丸太買いした木材を、板材や柱材用に製材し乾燥保管して、乾いたものから設計に盛り込んで使っている。


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 こうすることにより、流通品を買うとびっくりする値段がする
 (1)長い材料
 (2)幅広の材料
 (3)ほとんど流通していない樹種
 を手頃な価格で建て主さんに提供できるからである。
 あるときは設計者、またあるときは木材供給者といったところである。

 さて、先週末、エムズ建築設計三澤康彦氏、三澤文子氏、こころ木造建築研究所の山崎健治氏、シティ環境設計の高橋昌己氏、編集者の植久哲男氏、当事務所のスペースをシェアしている滝口、山崎両氏ととともに、福島のきこりの店オグラの渡部氏を訪ねた。

 ここオグラには毎年2-3回訪れ丸太を購入しては製材し天然乾燥(桟積み)している。桜、栗、アサダ、ミズメ、キリ、クスノキ、アカマツなどの材料を保有しているが、製材から乾燥までに3年以上(ものによっては5年以上)はかけたいため、早め早めに買い込んで製材し乾燥しているわけである。

 先週は、300年生の岩手のモミ(直径80cm、長さ4m、2番玉)を購入し製材してきた。300年前というと、西暦1700年頃、江戸時代が始まってほぼ100年が経過したあたり。そのときから今までかかって育ってきたモミの木である。大切に長く使うべく、厚く製材してゆっくり乾燥させることにした。木材が育ってきた年月だけ、使い続けてあげることが大切だと思う。

 5年後に素敵なテーブルつくろうか、あまったら自分の棺桶(モミは高級棺桶の材料です)つくろうか、と妄想が膨らむなー。


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平成22年5月1日
安井昇
posted by TEAM SAKURA at 12:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 木材

team TIMBERIZE

 同年代の研究者、設計者からなる、今後の木造(木を使った建物)の可能性を考える研究会に参加している。意匠、構造、防火、各方面のメンバーが集まるため、毎回、刺激を受け、有意義な時間を共有している。

 名をtimberizeというが、木材のあらたな使い方、木造のあらたな表現方法などを考えていこうという意味が込められている。

 そのtimberizeのメンバーが主催する木造建築の展覧会が、平成22年5月21日(金)〜5月30日(日)まで、東京青山のスパイラルホールで開催される。

 http://www.timberize.com

  活動内容は、2010/4/12号の日経アーキテクチャにも大きく取り上げられている。


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 木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて、耐震性、耐火性におとると考えられてきたが、技術開発が進歩し、つくりかたによっては、同等の性能を確保することも可能となってきている。その現状と今後の可能性を広く知ってもらうための展覧会なので、是非、足を運んでもらえると幸いです。



平成22年5月1日
安井昇
posted by TEAM SAKURA at 10:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 木材