2009年07月27日

谷中の町家プロジェクトその2

 先日の谷中の“町家プロジェクトその1"を見られた方は、準耐火構造の屋根でどうしてせっこうボード張りでなく、木材あらわしができるのか、不思議に思われたと思います。

 建築基準法上、準耐火構造の屋根に要求される性能は、30分間の室内火災に対して、非損傷性(こわれない)と遮炎性(炎を屋外へ出さない)です。

 木材は厚いと、1分間に0.8mm-1mm程度しか燃え進みません。この性質を、Jパネルを使った屋根に活用して大臣認定を取得したわけです。

 準耐火構造の告示のように、せっこうボードで野地板等が燃えないようにするのも一つの手ですが、それ以外にも木材の厚さで燃え抜けないようにすれば、準耐火構造に位置づけられるのです。

詳細は協同組合レングスに問いあわせいただければと思います。

また、7月17日付けで、Jパネルを使った、45分準耐火構造の床の大臣認定もおりてきました。これで、準耐火建築物(イ準耐)でも、

1.柱・はり:燃えしろ設計(準耐火構造の国土交通省告示)
2.軒裏:野地板30mm厚、面戸板45mm厚(準耐火構造の国土交通省告示)
3.屋根:Jパネルあらわし(大臣認定)
4.床:Jパネルあらわし(大臣認定)

の部位を木材あらわしでできます。必ずしもせっこうボード被覆でなくてもよいということです。準耐火構造の屋根・床の木材をあらわしとした仕様は、せっこうボード等の被覆材を表面に使わないという意味では日本初の試みです。谷中の町家では、上記のうち、1、2、3を実践しています。

なお、このJパネルの屋根・床の大臣認定取得事業は
エムズ建築設計事務所・協同組合レングス・丸天星工業・山城もくもく・エンデバーハウス・ムラモトらの共同作業で進められたものです。安井は防火技術コンサルとして、性能確認実験、大臣認定のための性能評価試験、大臣認定書類作成等の作業をしました。

皆であつまって、知恵をだせば、これまでできないと思われていた先駆的な試みができるものですね。

平成21年7月27日
安井昇
posted by TEAM SAKURA at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 建築設計