2009年03月02日

スギの片引き防火戸実験

 今年度、設計者の集まりであるNPO家づくりの会(会長:川口通正氏、今回の事業の責任者:泉幸甫氏)が、申請者となり、国土交通省地域木造市場活性化推進事業の補助金を獲得して、スギでできた片引き防火戸の開発を進めています。まち場の普通の建具屋さんが少し教えてもらえれば、つくれる木製防火戸を目指しています。

このプロジェクトでは施工の立場の協力者として、チルチンびと「地域主義工務店」の会も加わっています。

 建築基準法によると、延焼のおそれのある部分の外壁開口部は、防火設備を設ける必要がありますが、この防火設備には20分間の炎を遮る性能(遮炎性)が必要となります。

これを、普通のスギとガラスと発泡材(火災時に建具の隙間を埋めるもの、昔のへび花火のようなもの)だけで、つくろうというものです。火災時にスギが約1mm/分程度しか燃え進まないことを利用して、目標性能を達成したいと考えています。

 これまで、7体の約1m四方の小型試験体を使った試行錯誤の実験の末に、20分間の遮炎性を確保できる仕様があきらかになったので、今日、約W1.8m×H2.2mの大きなサイズの片引き戸で加熱実験を行いました。

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[20分加熱後の裏面の様子(火炎の貫通はなかった)]

結果は、屋外火災に対して、20分間、燃え抜けることなく、遮炎性を確保できました。

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[20分加熱後の表面の様子(きれいに炭化層が形成されている)]

さて、今回は網入りガラスを使用しました。網入りガラスは、加熱開始後1-2分でバリバリとひびが入りますが、網があることでガラスが脱落することを防止し、その結果、火炎の貫通を防止します。

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[加熱中の網入りガラスの様子(ひびは入るが脱落しない)]

今後、建具サイズやガラスの仕様を変化させて、20分間の遮炎性を確保できる仕様を確認していく予定です。

来年度の国土交通省地域木造市場活性化推進事業(H21.3.6応募締め切り)にも応募して、継続して開発を続けたいと思っています。

平成21年3月2日 安井 昇
posted by TEAM SAKURA at 18:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 木造防火