2009年01月22日

木材あらわし屋根の準耐火試験に合格

 本日、数年前から、エムズ建築設計事務所の三澤康彦さん、岐阜県立森林文化アカデミーの三澤文子さん、協同組合レングスさんらと進めてきた、スギ3層パネル(Jパネル)による準耐火構造の屋根の性能評価試験に合格しました。

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[試験体の加熱面の様子]

 これまで、準耐火構造といえば、せっこうボードを用いるのが一般的でしたが、今回、合格した仕様は、木材(スギなど)だけで構成されており、おそらく日本初だと思います。

 これで、準防火地域の3階建て住宅の屋根を室内から見て木材あらわしでできることになります。軒裏の準耐火構造には垂木・野地板あらわしの仕様がH12建設省告示第1358号に位置づけられているので、それと組み合わせれば、屋根全体を木材だけてつくれることとなります。このJパネルは水平剛床をとれるので、これを野地板に使えば、構造性能・防火性能をあわせもつことになります。

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[加熱中の試験体上部の様子]

 屋根の準耐火構造には、30分間、壊れない(非損傷性)ことと、炎が貫通しない(遮炎性)ことが求められます。木材は外部から加熱を受けると表面に炭化層(断熱材の役割をする)を形成するので、内部への熱の侵入が低減され、厚さがあるとなかなか燃え進みません。今回のような板材では0.8〜1.0mm/分であることが知られています。この性質を上手に利用して所定の防火性能を確保したわけです。

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[真剣に計測モニターをのぞき込む関係者(中央が三澤康彦さん)]

 今後、試験を実施した性能評価機関内の性能評価委員会での評価を経て、国土交通大臣認定の申請、大臣認定書の取得と進んで行く予定です。そうなれば、実際の建物に使えるようになります。

 今回の一連の防火技術開発は、三澤康彦さん、三澤文子さんを中心に、平成18-19年度国土交通省 住宅・建築関連先導技術開発助成事業費補助金「国産杉三層クロスパネルによる準耐火構造仕様の開発」、H20年度国土交通省 地域木造住宅市場活性化推進事業費補助金を獲得して、まずは様々な仕様での実験を繰り返し、今年度、大臣認定取得のための性能評価試験にこぎつけました。そのなかで、安井は防火技術指導など中心的な役割をさせていただきました。設計者と研究者がチームを組むことで、デザインと性能を同時にもつ新たな仕様を開発できる、よいモデルケースになったと思います。

 さて、来月は、木材あらわし床の準耐火構造の性能評価試験も控えています。これに合格すれば、準耐火建築物の床・屋根・軒裏・柱・はり(柱とはりは燃えしろ設計する)を木材あらわしとして設計できることになります。これまでできなかったことが、先駆的な取り組みによって実現可能となることで、混迷する木造住宅市場に少なからず刺激を与えることを祈りたいと思います。

平成21年1月22日 安井 昇
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2009年01月08日

準防火地域で木造3階建を設計する

 東京23区の多くが準防火地域に指定されています。そこに3階建てを設計する場合、準耐火建築物にする必要があります。
 この準耐火建築物、柱やはりをせっこうボードですべて覆ってしまう方法が一般的ですが、少し工夫(=建築基準法を勉強する)をすれば柱やはりを見せたり、軒裏の垂木や野地板をあらわしたりすることができます。
 柱・はりをみせるには、燃えしろ設計という方法を使います。木材は燃えやすいと思っているかたも多いですが、断面がそこそこ大きいとなかなか燃え進まないという性質をもっています。だいたい1分あたり0.6(大断面のはりや柱)〜1.0mm(15mm厚程度の板材)で燃え進みます。
 準耐火構造では45分の火災に対する安全性を確保する必要があるので、この間に燃える分+αを考慮して、集成材やLVLでは35mm、製材では45mmを燃えしろ寸法とします。ここで、製材が集成材等よりも大きいのは、燃えやすいわけではなく、節などの欠点の影響が製材のほうが大きいので、ある意味の安全率をとっているということです。
 この燃えしろ寸法を除いた残りの断面で建物が壊れない(柱やはりの残った断面に生じる応力度が短期許容応力度を超えないことを確認する)ことを確認すればいいわけです。この考え方を使った建物を現在設計しています
建物全体の重量にもよりますが、主となる柱が150mm角、150×180mm角ぐらいで成立しそうです。この柱が1間(1820mm)から2間(3640mm)間隔で見えてくるのであれば、あまり田舎っぽくならず、すっきりとした印象になるのではないかと思います。
春頃には着工する予定にしていますので、要所要所で紹介したいと思います。

この建物は構造設計を東京大学腰原幹雄氏らに御願いしており、「防火と構造の両面からのアプローチで、法令の範囲で木材をあらわしとした準耐火建築物がここまでできますよ」という良い事例になるよう進めていますのでどうぞご期待ください。

なお、この建物の各主要構造部の防火的なディテール例が、先日発売のチルチンびと別冊23号に紹介されていますのでご興味のある方は一度ご覧下さい。
posted by TEAM SAKURA at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 木造防火

2009年01月04日

あけましておめでとうございます

本年もどうぞよろしく御願い申しあげます。

年賀状

さて、2009年を迎え、ホームページをリニューアルしました。桜設計集団の仕事内容を建築設計、防火技術開発に分けてつくってございます。
一般の方、建築の専門家によらず、お役に立つ内容になっていると思いますのでどうぞご覧下さい。

それでは、今年一年が皆様にとって素敵な年であるよう祈っております。

平成21年1月4日 安井 昇
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